怪談

【怪談】沖縄の視える男の話

沖縄の視える男の話

休み時間に同僚から聞いた話。

沖縄にM公園っていう心霊スポットがあって、バカな奴が車で6〜7人で遊びに行ったんですよ。そうしたらその日から一緒に行った奴らが、全員事故起こしたりケガをして。

「そんなの知らない、自分は大丈夫だ」ってバカにして一番騒いでた奴も、毎晩うなされるようになっちゃって。アパートの階段を濡れた女が上がってきて、ドアをガチャってやって入ってきて、首を絞められるんですって。それをその女の目線で見るっていう夢を、何日も見続けて。「変な夢ばっか見て気持ち悪いな」って思ってたら、そいつの姉ちゃんが視える人で「アンタの車、助手席に濡れた女が乗ってるでしょ」って。「ドアにもたれるようにしてアンタのこと、見てるわよ」

そんなことを言ってたら、そいつも最後の最後に車で正面衝突したんですよ。その公園に行った月の最後の日に。

「えっ、怖い!」

バカだから、そいつは、自分が「視えてる」ってことに気づいてなかったんですよ。濡れた女に首を絞められても、バッと起きて「はっ、夢だった…」って、ずっと勘違いしてて。

車のヘッドレストと背もたれとの間に 、三角の隙間ができるじゃないですか。走ってると、そこから女が覗いてるのがバックミラーに映ってるんですよ。「殺してやる」とか言ってて。でも「なんか気のせいだろ」みたいにずっと思ってて、全く気にしてなかったんです。

「そんなことがあったら普通は気になるわ。視えてるし、聞こえちゃってるし。そんで、その人どうなったの?」

元気です、生きてますよ。

……。

これね、俺の話なんですよ。

「なにそれ。えっ、伊集さん視える人だったの! お姉ちゃんも伊集さんも視えるってこと?」

そうなんですよ。その頃が人生で一番視えてた時で。19〜20歳ぐらいですかね。

ユタってわかりますか? 友だちにユタの見習いがいて、ある日神様に見込まれて「お前ユタになれ」って言われるんですよ。それを受け入れてユタになる修行をしているのがいて、そいつにお祓いしてもらいました。

「それでいなくなったんだ」

いなくなりました。

当時、僕、100円ショップでバイトしてたんですよ。そこもすごい出るところで。墓地を壊してその上にビルを建ててたらしいんですね。

いっしょに働いてた女の人で「この人見えてるだろうな」っていうのがいて、腕につけてる数珠が2本、3本って見るたびに増えてるんですよ。休憩室にもなんかいるし、地下には男の子がいるって言われていて。自分はあんまり行かないようにしてたんですけど。社員の人なんて、突然気が狂ったようになって店の中で「死ね〜!」とか言ってくるんです。あとで聞いても「え、俺、そんなこと言った?」って……。

「憑かれているわけね」

そう、疲れてるんだか憑かれているんだか、ってわけで。(笑)

ある時、その女の人といっしょに遅番で閉めることになって、自分が鍵を締めようとしてたんですよ。そうしたら、ああいうテナントって最後に網みたいなのかけるじゃないですか。網かけて、鍵をしようとして目線を下に落としたら、目の前に男の子の足が見えたんですよ。

「やだ、怖い!」

このまま上を向いたら男の子と目が合ってしまうから、目が合ったらこれはついてきちゃうなと思って。そっちは見ないようにして、下の方についてる鍵だけ締めて、くるっと後ろを向いて帰ろうとしたんですよ。そうしたらいっしょにいた女の人は先に帰っちゃってて。「やられた〜」っと思って。

急いで家に帰って、その家も元々なんかいろいろ住み着いてたんですけど。自分がドアを開けたら、横から男の子がすって入ってきちゃったんですよ。

「わ〜、ついてきちゃってるじゃん!」

ついてきちゃって。

次の日は、付き合ってた彼女とC谷に買い物行く約束してたから行ったんですけど。自分は前の日眠れなくて疲れてるから「車で休んでるわ」って言って、シート倒して寝てたんですよ。そうしたら金縛りにあって動けなくなっちゃって。う〜ってなってたら、後部座席の真ん中のシャフトの上がちょっと膨らんでるじゃないですか。そこに、男の子が座ってたんですよ。

「!!!」

車の外には、黒人がいて。自分バカだから、動けないままそいつに「ニガー、ニガー!」って話しかけたんですけど、外だから聞こえないんですよ。そうしたら、男の子が「どうせ聞こえないよ」って言ったんです。

「喋ったの!?その子」

喋りました。それで男の子の顔見たら、顔がおじさんだったんですよ。

こいつのせいで金縛りだったんか〜と思って、左側をつかんで一所懸命起き上がろうとしたら、腕をつかまれて。その手が紫色。「死ね〜!」って言われて、その声が、社員さんが「死ね〜!」っていう時の言い方といっしょで。

「あっ、その人が憑いてたわけね。社員さんにね」

そう。それで、どうしようって焦ってたら、バッてドアが開いて。彼女が「どうしたの」って。

それも、友だちのユタのところに行って祓ってもらいました。

「今もそういうの、視えたりしないの。どこにでもいるでしょ、東京でも」

東京の方が多いと思いますよ。今住んでる家も最初、なんとなくイヤな感じがして。嫁もおんなじこと言ってました「なんかいる」って。でも、二人とも気にしないで暮らしてたら、だんだん薄くなりましたけど。

沖縄にいる時、ユタの見習いともう一人視えるやつがいて、部活の後輩なんですけど、三人で集まって飲んだりしてたんですよ。でもだんだん俺も細かいものまで視えるようになって来ちゃったから、「俺ら、しばらく会うのやめようぜ」ってユタが言い出して。

「なんで。視える人同士で集まってると、余計に視えるようになるとか、能力が高まっちゃうってことなの?」

そうなんですよ。それまでは月1回とか頻繁に集まってたんですけど、それで会わんようにしたらだんだん視えなくなって、普通になりました。

「いや、普通ではないかな。……それは」

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黒いジョヴァンナ
黒いジョヴァンナ
生来のホラーマニアで、学生時代には『新耳袋』『怖い本』『東京伝説』などを集め読破した。漫画好き、映画好きでもある。