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映画『ジョナサン ふたつの顔の男』ネタバレ・感想

映画『ジョナサン ふたつの顔の男』ネタバレ・感想

新宿シネマカリテで『ジョナサン ふたつの顔の男』を鑑賞した。

シネマカリテは新宿駅東口を出て、南側すぐの好立地にあるミニシアターだ。

私が行ったときは『ジョナサン』のプロモーションのため、地下へ向かう階段の壁やエレベーターの扉がデコレーションされていた。

初めて行ったので普段の様子がわからないのだが、廊下の壁の色とポスターに使われている黄色がマッチしているのに驚いた。

客席は少なくスクリーンも小さめだが、シートがゆったりしていて非常に良かった。クッションも柔らかくて座りやすい。居心地のいい劇場だった。

『ジョナサン ふたつの顔の男』ストーリー

ジョナサンは毎朝7時ちょうどに起床する。日課のランニングをしてから設計事務所に出勤し、パートタイムで働いた後は帰宅して家事をこなす。今日の出来事や会った人について報告する短いビデオメッセージを録画すると、午後3時頃就寝する。

2時間の睡眠を取ると、夕方5時、耳の後ろに埋め込まれた制御装置のはたらきで人格が切り替わり、ジョナサンと体を分け合うジョンが目を覚ます。明るくて社交的なジョンはジョナサンとは別の仕事、別の生活をしており、約10時間後に帰宅してビデオメッセージを録画し就寝する。
そしてまた2時間後、ジョナサンが目を覚まし、ジョンが録画したビデオをチェックする。
毎日がこの繰り返しだった。

ジョナサンとジョンは信頼する医師の指導のもと、この規則正しい生活を長年続け、お互いにビデオメッセージで誰に会ったか報告しあい、隠し事はしない、恋人は作らないといったルールを守っていた。 ところがジョンが密かに恋人を作り、睡眠時間を削って彼女とデートしていたことがわかると、二人の関係がギクシャクし始める。

ジョナサンがビデオで強く抗議し、ジョンの恋人に会いに行くと、ジョンは彼女と別れビデオメッセージの連絡を絶ってしまった。ジョナサンは不安に陥り、ジョンの元恋人に救いを求めるようになる……。

ネタバレ・解説

作品の魅力

2役を1人で演じるアンセル・エルゴートの繊細な演技と、演出に見入ってしまった。
ジョナサンはぴったりと髪をなでつけ、姿勢よく座り、シャツは上までボタンを止める。料理の盛り付けまで端正で、几帳面な性格を思わせるやり方だ。
一方、ジョナサンが視聴するビデオメッセージの中にのみ姿を見せるジョンは、ラフな髪型とカラフルなファッション。座り方はだらしがなく、表情は豊かで、ジョナサンに対し「ジェイ」と明るく呼びかける。

物語はつねにジョナサンの目線で進んでいくので、ジェイが何を思い、何を隠しているのかは、ビデオや周囲の人から得られる手がかりを通じて推し量ることしかできない。
そこが、この映画の最もスリリングなところだ。

不可解な結末が示すもの【ネタバレ】

恋人と別れたジョンはうつになってしまい、手首を切って自殺を図った。また、徐々にジョナサンの時間に割り込んでくるようになり人格を乗っ取って死のうとする。 結末では、自分が身を引いて、ジョナサンへ一人で生きていくようにとメッセージを送ってくるのだが……。
実は、それは罠だった。

ジョンはジョナサンの人格を消去し、ついに体を独り占めすることに成功したのだ。
旅支度をして乗り込んだタクシーで、彼は「ジョン」と名乗った。ジョンがビデオの外で、初めてわれわれ観客の前に姿を表したシーンだ。
彼が車内で流れるフランス語のラジオに反応したことによって、ジョナサンの経験や知識を内部に取り込み、人格が統合されたことを暗に示している。

ジョンは恋人と別れた頃から、うつを装い、体を乗っ取るタイミングを図っていたのではないか。初めてできた恋人をあっさり捨て、音信を絶ったのはそのためだったのでは……?

このラストは見る人によって見解が別れるところだ。
ネット上の意見を見てみると、ジョナサンが自ら身を引いたと解釈する人も多い。
私は、初見ではなんのことかわからず、劇場を出てから考え込んでしまった。あのラストの二人のやり取りを、日本語の字幕に頼らず、もう一度観て聞いてみたい。

感想

心理サスペンスとして、よくできていた。
ジョナサンがジョンの素行調査のため依頼した探偵役のチョイ役で、マット・ボマーが出ているのがおかしい。(マット・ボマーの無駄遣い!)

ジョンの恋人エレナが、二人の運命を狂わせるファム・ファタールかと思いきや、二人とも簡単に彼女を捨ててしまい、エゴ全開なのも皮肉だった。 ジョンにふられたからと言って簡単にジョナサンとくっつくエレナもエレナだ。簡単に付き合うから、別れるときも簡単なのだろう。

人間関係が希薄で、深く関わり合うということがない。
そんな人が怖れるのは、自分を見失うこと・自分が死ぬことだけかもしれない。都市生活において、われわれが最もおそるべきものを浮き彫りにする心理サスペンスである。

ABOUT ME
黒いジョヴァンナ
黒いジョヴァンナ
生来のホラーマニアで、学生時代には『新耳袋』『怖い本』『東京伝説』などを集め読破した。漫画好き、映画好きでもある。