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アート

『幽霊画廊Ⅳ』で古今の「幽霊画」を鑑賞する

『幽霊画廊IV』ヴァニラ画廊

2018年8月21日~9月2日までヴァニラ画廊で開催中の企画展『幽霊画廊Ⅳ』を訪れた。

ヴァニラ画廊は銀座八丁目に所在し、ビルの地下にギャラリー2部屋とショップを構える。
今回の特別企画展では階段を降りて右手側の部屋に浮世絵を展示し、左手の部屋で展示中の絵画に値札をつけて販売もしていた。

ヴァニラ画廊特別企画展『幽霊画廊Ⅳ』

幽霊浮世絵コレクション

浮世絵コーナーにあったのは歌川国芳と、私の好きな月岡芳年。
河鍋暁斎の『地獄太夫』は赤い打ち掛けまとった太夫(最高位の遊女)が居眠りする中、画面いっぱいに二十もの骸骨を配し、それぞれが琴や三味線を弾いたり遊戯に興ずるところを描いた面白い絵柄であった。(『地獄太夫ががいこつの遊戯をゆめに見る図』

あとは四谷怪談、牡丹灯籠、怪談累が淵など。
牡丹灯籠の図を初めてじっくり眺めたら「灯籠の上に牡丹の花を模した飾りがついているから、牡丹灯籠というのか!」と発見があった。どれも話の大筋は聞きかじって知ってはいるものの、始めから終わりまできちんと見たわけではないので、そのうち映画でも借りて観てみなければ。

印象に残った幽霊画

所伸一

洋画で印象的だったのはポスターに使用されている所伸一の油彩シリーズ『蒼き夜に』。
サイズ違いで5点の作品を組み合わせたもので、全部で250万円の値がつけられていた。
金色の満月と銀の満月を背景にして、和装の女性が頭骸骨を抱いて花に埋もれる姿が描かれている。実物を見ると、月を描いた絵の具は光沢がありキラキラと光る。また近くで見ると、女性の頬にはそれぞれうっすらと赤く血管が浮き出している。今回展示された中で最も華やかで綺麗な絵だった。(公式サイトでは『青い空気』として掲載)

Ransom & Mitchell

Ransom & MitchellによるGhost Townシリーズはデジタル作品だろうか。
水面の上を滑るように歩く人の透き通った姿。蔦の絡まる石の階段を上がる人影には、水色した蝶の群れがまとわりついて先導の役目を果たす。森でさ迷う白い少女は赤いテープに囲われ、囚われているのだろうか。603の部屋番号が見えるホテルの一室では壁から火が上がり、黒い煙が人の形をとって廊下に抜け出そうとしている。

どれも人の形をした人外の姿を描いており、幻想的で美しい。こんな絵を部屋に飾ったら、夜は怖いだろうなと思わせた。

鳥居椿

鳥居椿の小さな絵も良かった。
アルキド樹脂と鉛筆による『選別』には山羊の角の生えた悪魔と手を繋いだ女性が描かれていた。水彩の『訪問者』では、戸口からこちらをのぞく少年の姿が。いずれも繊細な線と淡い色彩でふわっと描いている。
これはそのものズバリの幽霊画ではないが、緊張感と少しの毒を感じさせる美しい絵だった。

呪みちる

同行のえむ氏は大好きな漫画家・呪みちる先生の絵を直に見て、静かに興奮していた。
聖子ちゃんカットの少女とマネキンなどを描いたカラー作品で、インクの黒にビビッドな配色が効いている。漫画家のイラストは普段何気なく印刷で見ているが、たまに原画を見ると発色が冴えわたっており感動する。

所感

500円で、現代画家のアートをいろいろ見られて楽しかった。
今回は小さい作品が多く、3~10万円出せば買えるものもあったりして、手に届きそうなところがまた良かった。部屋に飾って眺めるのもいいし、人気が出れば絵の価値はどんどん上がるだろう。投資目的でも、おもしろそうだ。

ヴァニラ画廊には、少し前に『シリアルキラー展』を見るため訪れたばかり。幽霊画廊の企画は今回が4回目という。
いずれ近いうちに、また訪れる機会がありそうだ。

ヴァニラ画廊
ABOUT ME
黒いジョヴァンナ
生来のホラーマニアで、学生時代には『新耳袋』『怖い本』『東京伝説』などを集め読破した。漫画好き、映画好きでもある。