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鳥居椿・目黒ミロ二人展『クロゥストロフォビア』展の感想・レポート

鳥居椿・目黒ミロ二人展『クロゥストロフォビア』展の感想・レポート

2019年5月2日から5月7日まで開催の鳥居椿×目黒ミロ二人展『クロゥストロフォビア』展を訪れた。(クロゥストロフォビアとは精神医学用語で「閉所恐怖症」をさすらしい。)
会場は渋谷区初台にある「画廊・珈琲Zaroff(ザロフ)」。

画廊・珈琲Zaroff(渋谷区初台)画廊・珈琲Zaroff(渋谷区初台)

この展覧会では鳥居椿先生、目黒ミロ先生の二人が「閉ざされた小さな夜に繰り返される恐怖症的物語」をテーマに2019年に製作した最新の作品群が展示されている。
また、会場1階の喫茶店において、鳥居先生が参加する「小鳥社商店」の雑貨やポストカードも販売コーナーも同時開催される。

私は会期初日、パートナーのえむさんと共に観覧した。この記事ではおもに展覧会の模様と、鳥居椿先生の作品の感想を紹介したい。

展覧会概要

鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia(クロゥストロフォビア)』展

  • 会場:画廊・珈琲Zaroff2階にて
  • 住所:〒151-0061 東京都渋谷区初台1-11-9 五差路
  • 入場料: 無料
  • 会期: 2019年5月2日〜5月7日
  • 時間: 12:30〜20:00(最終日17:00まで)

鳥居椿作品:展示内容

  • 最後に履いた靴 2019年
  • 記憶の断片 2019年
  • 夜に飛ぶ鳥 2019年
  • あの子 2019年
  • 白い鳥 2019年
  •  大事にしまっておいた君 2019年
  • 夜 2019年
  • 表情のない天使 2019年
  • 月も眠る晩に 2019年

感想・レポート

京王新線初台の駅から徒歩2分。喫茶店「画廊・珈琲Zaroff」の2階にて展覧会は開かれた。1階の入口は2か所あり、喫茶店の入口から入場すると店主が「展示はあちらです。履物を脱いで上がってください」と案内してくれた。

画廊の内部は黒を基調としたシックなイメージで統一されており、入口に展覧会の案内が表示されていた。会場やお店の雰囲気が驚くほど展覧会のイメージにマッチしており、おもしろかった。

Claustrophobia/クロゥストロフォビア ー《精神医学》閉所恐怖症

限られた狭い閉鎖空間にいることに対して極度の恐れを感じる症状。
下記の幽霊譚と絡め、閉所恐怖の心理状態が見せる怪奇現象へと繋げる。

鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia(クロゥストロフォビア)』展より

 

「アランデル城の四幽霊」

イングランド南部、ウェスト・サセックス州にあるアランデル城には、娘、少年、洒落者の男、そして白い鳥の幽霊が住み着いていると語られる。

鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia(クロゥストロフォビア)』展より

入口を入って左手側に鳥居椿先生の作品。右手側に目黒ミロ先生の作品が展示されていた。
こじんまりとした空間だが、オール新作で一度に多くの作品を見ることができ、感動した。短期間にこれほど多くの作品を仕上げるのは大変だったのではないか。

会場内は撮影可能。(1階店内は撮影不可)
ただし「作品正面からの撮影はご遠慮ください」との注意書きがあり、引きでの写真を何枚か撮らせていただいた。

鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』より、展示風景鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』より、展示風景
鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』より、カタログ展示コーナー鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』より、カタログ展示コーナー

全てモノクロで描かれた絵画で、艶のある黒が美しい。羽根のように繊細なタッチで、閉塞した空間に閉じ込められた人々を描き出している。

今回の展示では「シャドーボックス」のような手法で、立体感をもって制作された作品を見ることができた。例えば『夜』がそうである。

遠目に見ると、同一の少女のシルエットが5連続して描かれており、画面の右側から左方向に向かって歩み去っていく姿に見える。ところが、この絵は近づいてよく見てみると、切り抜かれたシルエットが平面上に並ぶのではなく立体感をもって、厚みのある箱の中に配置されている。つまり、奥から手前へせり出してくるように、そしてまた手前から画面奥の方向に遠ざかっていくように3Dで配置されているのだ。これはなかなか言葉では表現しにくいので、興味を持った方はぜひ実物を見てもらいたいと思う。
遠目に見た印象と、間近に見て奥行きや影に気づいたときとで印象が変わり、新鮮な驚きを感じさせる楽しい作品である。

他に、私が特にこれは、と思ったのが『白い鳥』と『表情の無い天使』の2作品だ。

『鳥』では大きな白い翼のもとに、巻き毛で長い髪のドレスの裾を引きずった人物が7人ほど集うように描かれている。全員がこちらから見て後ろ姿となっており、顔は見えない。
この尋常ではなく長い金髪・巻き毛の表現と、白いロングドレスに同じような髪型・背格好の人物が集う様子からは、ただならぬ雰囲気を感じさせる。
おそらく、生きている人ではなさそうな……。もしかしたら死んだ鳥のもとに天使のお迎えが来ているのだろうか? 片方の翼だけが大きく描かれ、体が一切見えないところからも不穏な感じを受ける。見る者の想像を喚起させる作品だ。

一方の『表情の無い天使』では、天使と言いながら、山羊の頭をして白い翼をもった人物の姿が描かれている。中央に8歳ぐらいのドレス姿の可愛らしい少女が描かれ、両側から山羊の頭をした人物が少女の手を握って並び立っている。画面左の女性がベールを被った女性的な姿、右の人物はがっしりとした体格や手の表現から見て男性像と思われる。
山羊の頭と言えば、キリスト教における悪魔がすぐに思い浮かぶ。天使のふりをした悪魔が少女を連れ去ろうとしているのだろうか……。

私は「アランデル城の幽霊」について全く知らなかったので、作品の理解がおそらく不充分かもしれない。ちょっと気になるので、後で調べてみようと思う。

目黒ミロ先生の作品には今回初めて接したが「スクラッチング」という手法で黒いボードを引っかくことにより、白い像を浮かび上がらせて描いている。作品は繊細で、神経に突き刺さるようなピリピリとした印象を受けた。おもしろい表現方法だと思う。

喫茶店内におけるグッズ販売の様子

作品を鑑賞した後は同行したえむさんが展示カタログを買い求め、1階の喫茶室でコーヒーを飲みつつしばし休憩した。
「画廊・珈琲Zaroff」は店主がお一人で切り盛りするこだわりのお店らしく、喫茶メニューが豊富でコーヒーやココアの種類が数多く並んでいた。物販の対応もお一人で行なっているため、混雑時には少し待ち時間が必要となる。
喫茶室は静かなお客ばかりで、ゆったりとした時間が流れていた……。

『クロゥストロフォビア』展と同時開催の、ガラスの小鳥社「小鳥社商店」物販コーナーは喫茶室から一旦外に出た隣りの部屋にあった。自分で好みの商品を手に取り、喫茶室で支払いをする形式である。
ぬりえやレターセット、雑貨、ポストカードなどさまざまな商品が並んでおり、見ているだけで楽しかった。ぬりえはえむさんが全種類を買い込んでいたので、私は好みの柄のポストカードとメモ用紙を選び購入した。

ガラスの小鳥社「小鳥者商店」で購入したグッズガラスの小鳥社「小鳥者商店」で購入したグッズ

ちなみに『クロゥストロフォビア』展のカタログには、今回の展示の中から大部分の作品が取り上げられ小冊子としてまとまっている。
表紙の装画は目黒ミロ先生による『小さな夜』。幽霊が住むというアランデル城を描いた作品だろうか。

鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』展示カタログ(2019年)表紙鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』展示カタログ(2019年)

裏表紙には鳥居椿先生による『夜に飛ぶ鳥』が採用されている。

鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』展示カタログ(2019年)裏表紙鳥居椿×目黒ミロ二人展『Claustrophobia』展示カタログ(2019年)

もしも期間中に訪れることができなかった人は、鳥居先生のオンラインショップにアクセスして、展示カタログの在庫があるかどうか、チェックしてみることをおすすめしたい。

鳥居椿オンラインショップhttp://toriitsubaki.cart.fc2.com/inquiry
鳥居椿Twitterhttps://twitter.com/torii_tsubaki

えむの感想

『クロゥストロフォビア』展は、鳥居先生の魅力の一つである「不穏な気配」に満ち溢れた内容だった。
展示作品のなかで、私が特に気に入ったのは、闇の空間に佇み、朽ちていく少年を描いた『あの子』。同じく闇が印象的な『表情の無い天使』『夜』だ。
閉所恐怖症がモチーフであるため、作品には闇を感じさせるものが多い。その闇が底なしに黒く描かれているところが素敵だった。

『クロゥストロフォビア』展の展示カタログはすかさず購入した。
既存のグッズは大体購入しているので、1階の物販コーナーでは新作グッズを中心に購入した。

  • 塗らなくても絵になる「ぬりえ」
  • どこでもキレイになりそうな「美なるクロス」
  • 貴重な鳥居先生の「ドローイング」

を手に入れて、大満足だった。

ガラスの小鳥社「小鳥者商店」で購入した新作グッズ(byえむ)ガラスの小鳥社「小鳥者商店」で購入した新作グッズ(byえむ)
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黒いジョヴァンナ
黒いジョヴァンナ
生来のホラーマニアで、学生時代には『新耳袋』『怖い本』『東京伝説』などを集め読破した。漫画好き、映画好きでもある。