2025年5月にU-NEXTに入り、アメリカのドラマ『トゥルー・ディテクティブ』シリーズを最新作からさかのぼって全部見た。
この記事では、私の感想をざっくりまとめる。
シーズン4 ナイトカントリー
2人の女性警察官がバディを組み、アラスカ州エリスで起こった不可解な事件を捜査する。
ドラマ出演は初となるジョディ・フォスターをめあてに見た。男社会に反発しまくる、感じの悪い警察署長のキャラクターがよかった。
相棒カーリー・レイスもよかった。アメリカ先住民や黒人の血を引き、プロボクサーでもあるというイカつい役者だ。
このドラマでは州警察の役で「男と殴り合いをしても負けない」キャラクターに、役者自身の実力の裏付けがある。
ジョディ・フォスターの部下で、いわゆる「有害な男らしさ」にとらわれ、人生のどんづまりに行き着いた中年男性が登場する。
この人が、5話の前半でギターを持って歌い出したら、うまいのでおどろいた。
ジョン・ホークスという俳優で、音楽活動もしている人物だそうだ。歌っているところをたまたまスタッフが聞いて、エピソードに急遽組み込んだ、彼のオリジナル曲らしい。
曲名は”No Use”
YouTubeやSpotifyで聴ける。
ビリー・アイリッシュの主題歌”bury a friend”もめちゃめちゃ不穏で好きだ。
シーズン4はそれほど人気がなかったのか、6話で終わってしまった。
吹き替えもなかったが、私は、シーズン4が一番好きだ。
先住民がキーとなる話の筋もおもしろかったし、音楽の使い方、映像の切り返しも印象的だった。
女たちが物語の主役という理由、しかも、ジョディ・フォスターが感じの悪い中年の役だから、視聴者に受けなかったんだろうか……。
シーズン3
『ムーンライト』『グリーンブック』で2度のアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリが主演。
黒人と白人、2人の刑事がバディを組み、アーカンソー州オザーク高原で起きたこどもの殺人事件を捜査する。
1980年代に2人の幼い兄妹が失踪。兄は遺体で見つかり、妹は失踪したままとなる。
1990年代、マハーシャラ・アリ演じる刑事の妻が、この事件について本を執筆。失踪した少女が成長し、生きていたらしき手がかりが同じ時期に発見される。
2015年、引退した元刑事は事件を引きずっており、認知症の記憶障害に苦しみながら再調査を始める。
3つの年代にまたがり、刑事が消えかけた記憶をたどりながら、未解決事件の真相を突き止める構造だ。
こういう複雑な筋のミステリーって、私は時系列がごっちゃになってややこしいだけで、だからおもしろいとは思わない。
夫婦が気まずくなったのは、妻が作家として成功することを夫が素直に喜べないからでは……。そこのところのわだかまりが解消されず、重苦しいまま終わってしまった。
『トゥルー・ディテクティブ』シリーズは、有能な刑事が、家に帰れば「有害な男らしさ」を発揮して、家族の仲をぶち壊しにする姿を、繰り返し描いている。
殺人ミステリーの謎を解き明かすだけでなく、刑事たちのしょうもなさを視聴者に突きつけるのが、持ち味になっている。ちょっと変わった作品だと思う。
シーズン2
コリン・ファレル、レイチェル・マクアダムス、テイラー・キッチュ。 カリフォルニア州ヴィンチ市で起きた市幹部の殺害事件を、市警、群の保安官事務所、ハイウェイパトロールと、それぞれ異なる立場の警察官がチームを組み、捜査する。群像劇だ。
殺された市幹部の関係者であり、ギャングで実業家のフランク・セミョンとその妻ジョーダンが、裏稼業から足を洗おうとしてあがくが、次々に事件が起こって、なにもかもうまく運ばない。
この夫婦の物語が印象的だった。
刑事たちは後半、唐突に恋愛関係に陥り、男女のバディだからっていちいちくっ付かなくてもいいのに……と思った。
巨大な汚職と殺人が絡んだ事件がどう決着するのか、予想がつかないうちに、ストーリーがめまぐるしく展開し、サスペンスとしては、おもしろかった。
コリン・ファレルの父と子をめぐる親子3代のストーリーもよかった。「有害な男性性」を息子に受け継がせまいとして、その流れを断ち切るところが、良かったね!
コリン・ファレルってどこがいいのかいまいちわかってなかったけど(『聖なる鹿殺し』『フォーン・ブース』とか)このドラマを見たら、情けない役がハマっていてほだされちゃったな。
シーズン1
マシュー・マコノヒーとウディ・ハレルソン。
頭脳派と肉体派、2人の刑事がバディを組み、ルイジアナ州で見つかった女性の猟奇殺人事件を捜査する。
刑事たちの人物造形がおもしろい。
マシュー・マコノヒーはつらい過去を引きずっており、人を寄せ付けない冷たい態度だが、刑事としては有能だ。
相棒のウディ・ハレルソンは、職場でのホモ・ソーシャルな人間関係に順応し、マッチョなふるまいをして出世する一方、私生活では「有害な男らしさ」にとらわれ、浮気して他人に暴力をふるったり、家族との関係でもつねにトラブルを抱えている。
2人は1995年に猟奇殺人事件を解決したはずだったが、その後に起きた類似の事件で、マシュー・マコノヒーが容疑者として疑われ、調査を受ける。
ドラマでは1995年と2012年、2つの時代を行きつ戻りつしながら、事件の全貌が少しずつ見えてくる。
仲違いしていた2人の元刑事は、調査をきっかけに再会し、協力して真犯人を探すことになる。
私生活に問題を抱えた刑事(元刑事)が、事件を解決することでなぜかふっきれて、家族とのわだかまりまで解消されてしまう、というのが、このシリーズのもう一つのお約束になっている。
シリーズ全体の感想
シーズン3以外は、それぞれの良さがあり、おもしろかった。
シーズン3は、3つの時代にまたがり、それぞれ同じ役者がメイクで青年時代〜高齢になるまでを演じるから、手が込んでいるんだけど、「記憶障害を抱える元刑事」のキャラクター設定が、いまいち効果的ではなかったように思う。
事件の解決部分と結末はよかったけど、夫婦関係のごちゃごちゃには感動しなかった。
シーズン4『ナイトカントリー』(2024年)がすごくおもしろかったから、続編もまた作ってほしいけど、女性たちを主役にして「有害な男らしさ」と決別し、決着をつける「最終作」として意図して作られたのかな、と思ったりもする。
2025年4月10日ころから見始めて、2か月で4シーズンを見終わった。
