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ドラマ『キャッスルロック』シーズン2 要点のみを解説・考察

ドラマ『キャッスルロック』シーズン2 要点のみを解説・考察

『キャッスルロック』シーズン2を観た。

今回の主人公は映画『ミザリー』でおなじみのアニー・ウィルクス。
スティーブン・キングのファンとして、あの名作『ミザリー』を超えられるはずがないだろうと想像したが、アニーの特異なキャラクターを生かしつつ、『キャッスルロック』シーズン1の世界とつなげて新しい物語を見せてくれた。ひょっとするとシーズン1よりもおもしろかったかも……!

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この記事では、全10話にわたるドラマの要点のみをまとめて解説・考察したい。

あらすじ

アニーと娘・ジョイは車でアメリカ全土を放浪していた。アニーは看護師の身分を悪用し、各地の病院に入り込んでは薬を盗み服用していた。薬がなければ恐ろしい幻覚が見える精神疾患を抱える身だ。

アニーは本名を隠し、別の姓を名乗っていたが、メイン州の町エルサレムズ・ロットで自動車事故を起こし、滞在中にロッジのオーナー、エース・メリルに素性を知られてしまった。とっさにエースを殺したアニーは、雨の晩、工事現場に遺体を捨てに行った。
現場を掘り返している最中、地面の陥没が起き、誰も知らない地下の墓地にアニーは転落する。そのまま墓地にエースの遺体を置き去りにして、アニーはロッジに逃げ帰った。

死んだはずのエースは、後日、別の人間の魂を宿して街に帰ってきた。そして周囲の人を次々に殺し、そこにまた別の人の魂を入れて街を乗っ取ろうとする。

エースに宿った邪悪な魂は、かつての恋人・アミティをよみがえらせようと企んでいた。彼女は400年前、この地に入植したフランス人の狂信者であり、キャッスルレイクのほとりで《天使》と出会ってから、不思議な力を得て人々を集団自殺へと導いた人物だ。彼らの魂は地下の墓地で人知れず眠っており、棺の中に新しいボディをおさめると、その人の体を乗っ取ってよみがえることができる。

エースに宿った魂は、アニーの娘・ジョイをアミティのための入れ物として選び、丘の上のマーステン館へと連れ去った。
アニーはエースの伯父・ポップと合流し、死にもの狂いでジョイを追う。なんとしてもジョイだけは取り返し、守りたい理由がアニーにはあった。

感想・考察

アニーとジョイの過去の因縁話

ポップ・メリルをめぐる人間関係など枝葉のストーリーはあるが、アニーとジョイ、2人の女性に焦点を合わせれば、今回の話は単純だし過去の因縁話もおもしろかった。

アニーはどう見ても30代。ジョイの母親にしては若すぎる。

ちなみに、アニーを演じるリジー・キャプランは1982年生まれ。37歳だ。

アニーは生来粗暴な性質で、学校に適応できず自宅に閉じこもって育った。狂信的な母の影響を受け、無理心中に巻き込まれて母から殺されそうになった過去のトラウマ、父の裏切りと、その後に起こった悲劇が彼女のいびつなキャラクターを作っている。
アニーの人生で唯一の希望は、アニーの父と後妻の間に生まれたジョイだ。赤ん坊だった彼女を連れ去り、逃亡者となった理由は《第5話》で明かされる。
つまり、ジョイはアニーにとって娘ではなく、腹違いの妹にあたる存在だ。

その後、アニーが大学や看護学校に通った形跡はない。そもそも彼女は身分証明証を偽造しており、ということは看護師としても無資格なのだろう。そうとは知らず、世話をされる患者にとってはおそろしい話だ。

アニーの母は「少女は汚れを知らぬうちに死なせるべき」と信じ込み、アニーに手をかけた。ミソジニー(女性嫌悪)というか、ミサンドリー(男性嫌悪)と言うべきか。その母の思想にアニーも少なからず影響を受けている。
そうした過去の経緯を知ってからだと、アニーも気の毒な人と思えるし、独善的な傾向も無理からぬことと思えるようになった。
束縛されるジョイにしてみれば迷惑な話なのだが……。

この先、結末ネタバレあり!!

結末で、アニーは結局母の幻影に惑わされ、愛するジョイを手にかけたことが明らかとなる。しかも彼女を失ったことを受け入れられないまま、各地をさまよい、作家・ポール・シェルダンの前に姿を現すのだ。
『ミザリー』の主人公アニー・ウィルクスの背景がこのようにして明かされた。

『ミザリー』と『キャッスルロック2』2つの物語が見事につながるエンディングだ。

ヘンリー・ディーヴァーと《謎の青年》の再来

『キャッスルロック』シーズン1の最終話では、2018年の火災の後、無人となったショーシャンク刑務所において、主人公のヘンリー・ディーヴァーが《謎の青年》を監禁していた。
ところが、2019年のシーズン2では改修工事も終わり、元通り刑務所として使われていることが明らかになる。

シーズン2《第7話》に、ポップがショーシャンク刑務所に行き、義兄にあたるジョンと面会するシーンがある。ジョンはエースら兄弟の実父でもある。戦争に行った後、酒に溺れ、妻を殺して服役中という設定だ。

このとき、《謎の青年》は既に檻から脱出していた。一方のヘンリーは行方不明となり、「たずねびと」のポスターが貼られていた。(シーズン2《最終話》)

《謎の青年》はシーズン1では記憶を失くしていたが、キャッスルレイクを通じ時空を超えて移動する特殊能力を持っており、400年前に指導者アミティに不思議な力を与えた《天使》その人であった……。
というわけで、シーズン1と2の物語がここでつながった。

シーズン2における《天使》は一言も言葉を発しないし、われわれの前に姿を現したのも、アミティが登場する《第7話》の一瞬のみだ。

この役柄を演じるビル・スカルスガルドにとっては、今回は出演シーンが少なく、楽な仕事であったに違いない(?)

同じ人物はシーズン1では、キャッスルロックの街に災厄をもたらす《悪魔》で、年を取らないという設定であった。
きっとシーズン3でもどこかで登場し、なんらかの役割を演じるのだろう。

失われた町・エルサレムズ・ロット

シーズン2で、アニーらが滞在した街・エルサレムズ・ロットの住人は、地下墓地からよみがえった人々の邪悪な導きによって集められ、ポップが仕掛けた爆弾によってふきとばされてしまった。このときにほとんどの人が亡くなり、街は壊滅したと見られる。
そのため、オープニング・ムービーに登場する地図にはエルサレムズ・ロットの名がないのだろう。

シーズン2の舞台となったエルサレムズ・ロットは、読み方を変えるとジェルサレムズ・ロット。またの名をセイラムズ・ロットといい、キングの小説『呪われた町』(1975年)『ペット・セマタリー』(1983年)に登場する吸血鬼の街として有名だ。

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次回、シーズン3が制作されるとしたら……舞台はキャッスル・ロックの地に戻ってくるのではないだろうか?
シーズン1で生き残ったヘンリーも、あるいは帰ってくるかもしれない。

終わりに

『キャッスル・ロック1』では、現在から過去へ、また、パラレルワールドの現在から過去へと交錯し、話が複雑に入り組んでいた。また、街に災厄をもたらす《悪魔》や、森の音《スキスマ》など、超自然的存在が急にあらわれるので、話が突飛すぎてついていけない……と感じるところもあった。

一方、『キャッスル・ロック2』では「街を支配する超自然的存在」という概念にも慣れ、「どうせ、超常現象が起きるんだろう」という気持ちで見ていたので、急に死体がよみがえっても自然と受け入れることができた。なんの説明もなく《スキスマ》の音が聞こえてきても、ああ、またか……という感じだ。

アニーの過去をめぐるミステリーは結局、悲しい結末に終わったが、胸糞も2回目なので慣れている。だんだん話はおもしろくなっているので、ぜひともシーズン3が制作されることに期待したい。

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黒いジョヴァンナ
黒いジョヴァンナ
生来のホラーマニアで、学生時代には『新耳袋』『怖い本』『東京伝説』などを集め読破した。漫画好き、映画好きでもある。